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 No.584

三輪 薫(みわ かおる)


No.584 『創る』/今年の米アカデミー賞の白黒サイレント映画 2012/4/10

現在写真も映画も映像関係は大半デジタルになっていて、映画などCGや3Dという時代なのに、今年の米アカデミー賞の5部門をも制覇した映画が何故か白黒のサイレントだったのが驚きだった。写真もそうだが、アナログ時代からデジタル時代に突入し、進化するほどにエスカレートするばかりで止まることを知らない。そのような世であればこそ、今回の白黒サイレント映画の数々の受賞の経緯や要因を深く考えないといけないかも知れない。

進化するばかりのデジタル画像を見続けていると少々どころかかなり食傷気味になってくるものである。鮮やかなカラー写真が氾濫する中でこそモノクロ写真に新鮮な感動を覚えるように、CGや3Dの技法を駆使した映像にではなく素朴そのものの白黒画像の映画に見る楽しみを覚えるのだろうと思っている。モノクロ画像からは色を想像し、サイレントの映画では役者の台詞は聞こえなく、見る側の心の中に響く言葉を感じ取る心地よさがあるのかも知れない。これはまさしくアナログの世界のことで、デジタルではなしえない。つまり、人間はデジタルではなくアナログで、だからこそ人の心を真から打つのはデジタル画像ではなくアナログ画像と言っても過言ではないような気がする。しかし、この映画、フィルム撮影なら喝采物だが、デジタル撮影だったら興味も半減すると感じるのは僕だけだろうか。

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