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 No.592

三輪 薫(みわ かおる)


No.592 『創る』/デジタル時代のプリント-3 2012/7/5

今年は隔年で開催している「わの会」写真展の年である。前回の2010年は6回目で、デジタル時代にも拘わらず74名出品の内なんと39名がフィルム撮影の作品だった。その39名の内34名が手焼きの銀塩ペーパーを使い、他の5名はデータ化して画材紙や和紙に出力した。デジタル撮影は銀塩ペーパーを使うラムダ出力とインクジェットプリンタによる画材紙と3種の伊勢和紙(伊勢和紙Photo 平織目雪色/とりのこ色、芭蕉麻紙)を作品内容によって使い分けた。自家処理も17点あったが、銀塩のモノクロプリント以外はインクジェットプリンタによるもので、用紙の種類は多種多様だった。

今年も12月上旬に前回に引き続き四ツ谷のポートレートギャラリーで開催するが、半年前の先月から準備を始めている。プリントを依頼するプロラボは、今までと同様にフィルム撮影分を港区赤坂にあるPGL(フォトグラファーズ・ラボラトリー)で、デジタル撮影分は杉並区中野富士見町にある堀内カラーフォトアートセンターを予定している。

銀塩カラーペーパーを使うデジタル画像のラムダ出力と手焼きのカラープリントでは共に銀塩のカラーペーパーを使うため、一見同じように仕上がると思いがちだが、実は大きな違いがある。勿論、この違いはどのような仕上がりにしたいかを明確に指示し、作画と表現におけるプリント効果を最大限に発揮した仕上がりを前提として考えるべきである。その結果、写真らしい素晴らしいグラデーションと深みのある色合いを求めると、やはりというか「フィルム撮影+手焼きプリント」のほうに軍配が上がる気がする。臨場感溢れた作画と表現を期待すると、まだまだ銀塩写真は健在なのだと思わずにはいられない。しかし、今回新たに見積を依頼したPGLからのメールでは、経営が年々厳しくなってきているとあった。PGLは銀塩専門ラボで、デジタル全盛の現在、発注者が少なくなるばかりと思われるので仕方がないのだろう。大都市の名古屋市でさえ、プロラボの形態は数年前から受け付けの窓口だけになり、現像やプリントの作業はしていないと聞いている。

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