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 No.598

三輪 薫(みわ かおる)


No.598 『創る』/デジタル時代のプリント-4 2012/9/15

写真弘社には和紙にもプリントして欲しいと思っているのだが、まだ受け付けてくれない。伊勢和紙Photo雪色への試作プリントを見たことがあるが、結構なレベルの出力で、1日も早く対応してくれることを願っている。

しかし、画材紙や和紙へのプリントをお願いすることが多い杉並の堀内カラーでさえ、実際に発注してくれるのは僕が監修する個展を含めた写真展が大半だと今年に聞いて驚いた。デジタル時代とはいいながらも、個人レベルではインクジェットプリンタでの出力が格段に増えているが、写真展用のプロラボでのデジタルプリントに関してはまだまだ銀塩ペーパーのラムダ出力が大半なようだ。銀塩ペーパーを使うラムダ出力がインクジェットプリンタで写真用紙にプリントするよりも優れているのはプリンタ製造メーカーの人でさえ認めているほどだ。しかし、写真展を開催する側の人達は、デジタル時代を謳歌し、デジタルの可能性を心ゆくまで活用するには至っていないという現実がある。写真展の大半はプリントを展示していて、銀塩ペーパーか写真用紙のみを選ぶだけでは、折角のデジタル時代には寂しく勿体ない気がする。

写真もデジタル時代になって自家処理プリントを楽しむ人が増えている。しかも、銀塩写真と違って暗室も必要なく、明室で実に気軽にプリントできる。これが受けているのだろうが、フイルム撮影時代には大半の人がプリントをラボなどに発注し、作品創りをしている人はプロラボに依頼していたはずだ。しかし、デジタル時代になると何故か実力もないのに自家処理で満足してしまう人が増えてきたように思う。最終プリントはデジタルでも、出力レベルが格段に違うプロラボに委せたほうが当然結果もよくなるに決まっている。レベルの低い出力に甘んじていると撮影の作画と表現力も下がってくるような気がする。何故このことに気づかない人が多いのだろうか。

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