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 No.602

三輪 薫(みわ かおる)


No.602 『創る』/映画とTVドラマ 2012/10/25

近年話題に上り、興行成績もよい映画はTVでの宣伝がすごい。「あなたへ」と「踊る大捜査線 THE FINAL新たなる希望」の2本も同様、これでもかというくらい多い前宣伝とあおる番組が多かった。橋本駅前のシネコンでも上映していて、ついこの2本の映画も観てしまった。

高倉健主演の「あなたへ」は何となく場面の流れ方が唐突に感じられる部分もあり、この内容を描くには2時間では足りない感じがした。「鉄道員 ぽっぽや」のほうが場面転換も少なかった分内容が充実していたような気がする。しかし、「あなたへ」の最後のほうに少し出演していた大滝秀治の演技は主演の高倉健も認める秀逸で、この映画の最後は大滝秀治の船で亡き妻の散骨を終えて帰港したところで終えたほうがよかったような気がした。映画全体の余韻がもっと深く残ったのではないだろうかと感じたからだ。主演や助演の俳優はいいのだが、何カ所かストーリー性に戸惑う場面転換の組み立て方に戸惑う部分があり、観客の心を何処までとらえることが出来たのかと考えると、ちょっと惜しい映画だった。人の心を打つ内容なら先月までTVで放映されていたドラマの「ビューティフルレイン」のほうが素直に受け入れられたような気がする。しかし、毎回涙腺がゆるんでしまう内容にはTVドラマとはいえ明るい部屋で観るには少々困惑したのも事実である。

「踊る大捜査線 THE FINAL」は最後の製作らしいお膳立ての気軽に楽しめる内容の娯楽映画であるが、このシリーズの映画が過去最高の興行収入を得たのは分かる気がする。TVドラマの延長であるのは仕方がないとはいえ、自宅で観る液晶TVと違ってスクリーンが大きいだけに迫力もあり、臨場感に溢れた画面を観る楽しみもある。しかし、映画館の大音響は何とかならないのだろうか。特に音楽が流れるときなどは、時には台詞もかき消されるほどに聞こえることもある。大音響で流れる音には、時として耳をふさぐこともあるくらいだ。映画好きで頻繁に映画館に通っている人が難聴になるのではと心配になるほどである。

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