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 No.603

三輪 薫(みわ かおる)


No.603 『創る』/フィルムの製造中止とデジタル画像 2012/11/5

9月の新聞に富士フイルムが映画用フィルムの製造中止を決定したとの記事が掲載されていた。写真用のカラーフィルムも次々と製造中止になっていて寂しい限りである。映画用も写真用もフィルムは文化の一つと考えてきたのでこの世から消え去るのは何ともやりきれない思いがする。

以前から銀塩とデジタルは別物と言ってきて、比較するのではなく、現代では共に活用してこそ作品創りの世界が広くなると思っている。だから、デジタル時代だからと言ってフィルムの製造を止めることは後日大失敗だったと思い知ることになるのではないだろうか。フィルム撮影の画像とデジタル画像とは全く違っていて、デジタル撮影が多くなっている現在でも、これはと言った場面では必ずと言ってよいくらいフィルムでも撮っている。カラーもモノクロも撮る。

僕のデジタルプリントは大半が和紙で、一部画材紙などを活用するくらいなのでいいのだが、写真愛好家の方の写真用紙などのプリントを見ると、画像が崩れたりぬめっとした調子になって、ときには気持ち悪く感じる仕上がりもある。大きなサイズにプリントする場合にはフィルムの銀塩プリントは粒状性が多少荒れて見えるだけだが離れて眺めると気にならない。しかし、デジタル画像を大きくプリントすると画像の崩れが半端ではなくなることもある。

この新聞の記事で「フィルムは温度と湿度の管理をしっかりすれば500年以上保存できるが、デジタル媒体は30年程度で劣化し、質が悪いと5年でノイズが出る。また、デジタルで保存するには何年か毎に映像を新たに移し替える必用があり、フィルムの何倍もの費用が掛かることになる」との説明が書いてあった。保存にはフィルムのほうがダントツ優れている。

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