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 No.604

三輪 薫(みわ かおる)


No.604 『創る』/フィルムの製造中止とデジタル画像-2 2012/11/15

TV局ではデジタル撮影した歴史に残したい大切な映像はフィルムに置き換えて保存していると以前に聞いたことがある。撮影に便利なものは全てに優れているわけではないということがよくわかる話だ。音楽の世界ではレコードも復活し、アナログの音も楽しめるようにもなっている。映像の世界もデジタル一辺倒ではなく、いつまでも共に楽しめる時代であってほしいものだと願わずにはいられない。

しかし、フィルムに関しては近い将来カラーフィルムは消えてしまうような気がする。モノクロフィルムは何とか残りそうな気配なので、カラーのリバーサルフィルムがこの世からなくなってしまえばモノクロ写真漬けになるのも悪くはない選択とも思っている。しかし、バライタ印画紙も製造中止に追いやられるばかりで、何時この世から消えてしまうかも知れず、安心は出来ない。

2003年以降に和紙によるデジタルプリント展を10数回開催してきたが、多くの元画像がデジタルではなくフィルムである。和紙プリントと言えども元画像がまだまだフィルムをデータ化したほうが満足の行き仕上がりになると判断しているからである。2003年に初めて和紙プリントによる個展を開催した時の元画像は全てCONTAX 645で撮ったリバーサルフィルムで、ドラムスキャナでデータ化した。1000mmx1350mmのプリント画面でも、8×10inch判フィルムからの銀塩プリントのきめ細かな粒状性に勝るとも劣らないと思うほど、小さな葉でもシャープなエッジを見せてくれた。同じ画像のプリントを、伊勢和紙館では800mmx1080mmくらいのサイズで展示されているが、近寄って眺めてもビックリの素晴らしいプリント画像である。同じ結果をデジタル撮影で期待すると多分4000-5000万画素の元画像が求められるような気がする。フィルム画像はデジタルプリントにしても凄いクオリティーなのだ。なのに、どうしてフィルム撮影を簡単に止めてしまう人が多いのだろうか。

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