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 No.605

三輪 薫(みわ かおる)


No.605 『創る』/銀塩プリントとデジタルプリント 2012/11/25

1994年以降、ほぼ2年毎にフィルム撮影によるカラーとモノクロの個展を開催し続けてきた。カラーの前回の個展は2008年で今年は4年目になるが個展の開催予定はなく、7月の個展はデジタル撮影の花作品だった。銀塩のモノクロバライタ印画紙による前回の個展は2009年に開催し、来年は4年目となるが開催できるかどうかは分からない。しかし、引き伸ばし機も 8×10inch 判から35ミリ判までまだ5台持っていて、バライタ印画紙も冷凍冷蔵庫に保管してあり、開催の物理的条件は揃っている。未発表の作品もネガの状態であるが山ほどある。

デジタルプリントによる1回目の個展は2003年に開催の「風香」展であるが、この個展は長年の念願、夢であった和紙プリントによるものだった。特に30代初めにフリーになって特にカラー写真では「カメラで日本画を描く」作風の構築に励んできたため、その作風のプリントは和紙が最もふさわしいと思っていた。しかし、30年前頃にはカラーの和紙プリントなどはなく、何年後に実現するかの確信を抱くことはできなかった。念願だった和紙プリントによる「風香」展以降、現在まで和紙によるデジタルプリント展を13回開催している。

写真界もデジタル全盛で、プロだけではなく写真愛好家のカメラもデジタルタイプが多くなっている。監修しているグループ展や個展も毎年結構あるが、近年はデジタル撮影が多くなっているため当然ながらプリントも大半がデジタルになっている。しかし、デジタルしかできない画材紙や和紙プリントによる写真展は、何故かまだまだ少数派である。大半が銀塩カラーペーパーを使うラムダ出力的なプリントかインクジェットプリンタでの写真用紙が多いようだ。実に勿体ない話である。銀塩のカラーペーパーにプリントするなら、元画像はフィルムのほうがデジタル撮影画像よりも遙かにいいような気がするからだ。

だからと言うわけではないが、監修する写真展では写真愛好家の作品でも年々画材紙や和紙にプリントする作品が増え続けている。29日から四谷のポートレートギャラリーで開催のキヤノンフォトクラブ東京第5展は2/3が画材紙と和紙でプリントした。デジタル時代のプリントの魅力を是非会場にて見て確かめていただきたいと思っている。
http://www.sha-bunkyo.or.jp/gallery/port.html

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