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 No.607

三輪 薫(みわ かおる)


No.607 『創る』/歴史に残るのはデジタルかアナログか 2012/12/25

美術館などに行くと数百年を超えた絵画や彫刻などの作品に出合え、油絵など表面にヒビが入っていてもまだ数百年はこの世に存在し、数多くの人達の心の潤いを満たしてくれるだろう。しかし、現代のデジタル作品は、絵画や映像に止まらず、文字の世界にも浸透し、歴史の事実などを止めるはずの記録もデジタル一辺倒では不安を感じてしまう。

木や紙に書かれた文字は千年経っても残るが、デジタル画像やデジタルの文字はいつ何時消えてしまうかも知れない危険性を併せ持っている。デジタルは原発同様に、一見安価に見えたり思えたりするが、実はアナログ同様の保存を考えるととんでもないくらいの費用と時間が掛かることがやっと一般人にも認識されてきたように感じている。だからこそ、画像も文字も耐久性のある紙にプリントしないと後世に残すことが出来なくなってしまうのではないだろうか。

デジタルはその分野に拘わらず、進化するばかりであり、最終形は誰にも分からない。しかし、銀塩写真に限って言えば、現在はほぼ完成形である。銀塩写真が200年近くになって完成度が限りなく高くなっても、写真が未完成のデジタルに邁進している現状を大半の人達が支持していることがどうにも理解できないでいる。

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