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 No.611

三輪 薫(みわ かおる)


No.611 『生きる』/建物探訪 2013/2/20

俳優の渡辺篤志さんが家を紹介する番組「建物探訪」を長年楽しみながら見ていた。最近また見始めた。10代の頃には一時期建築家を夢見ていたこともあり、いまだに建物や設計には興味がある。番組で紹介される建物は、当然ながら全てプロの設計家によるもので、すてきな家だと思うことが多い。長年住み、暮らすには、やはり専門家の設計による家は素晴らしく、快適だろう。20数年前に改築した家は面積優先で計画したため、予算がなくて専門家に設計を依頼できなかった。改築したのは自宅での仕事には不便だったことと、田舎育ちの僕には狭くて息が詰まりそうに感じていたからだった。しかし、かなり広くなったとはいえ、現在の家が暮らしやすいとは思っていない。

TVで紹介される専門家の設計に疑問に感じる部分もある。特にトイレであるが、アメリカやヨーロッパのバスルームの中のトイレと同様の設計がされたものが結構あり、疑問を感じている。都会的なホテルではトイレは大半バスルームの中にあることが多いが余り好きではない。やはりホテルでもトイレは独立していたほうがいい。我が家は小屋裏三階建てだが各階にトイレを造った。狭いが全て独立したトイレである。日本の厠は独立していて、僕が生まれ育った関ヶ原の実家では、何と別棟だった。しかし、トイレが別棟では困ることも多く、特に雪が多く降って積もった冬にいちいち外に出るのが辛かった。しかも土壁はあったが三角屋根との間はオープンで、雪が舞い込むこともあった。今では考えられないことである。

近年の一戸建てでは、一階と二階にトイレがあるのは普通になっているが、同じフロアーにトイレが2つあるのは大変珍しい。この番組に登場した家で、同じフロアーにトイレが2つあるのは見たことがない。だから誰かが入浴中だったら他の階に行くしかなく、実に不便だ。一流の設計家なら、どうしてこのような設計をするのかと疑問を感じてしまう。このような設計図を渡されたら、僕なら絶対変更をお願いする。番組に登場している人達は、このような設計に疑問を感じていないのが実に不思議である。あるときトイレのドアがない設計の家も紹介された気がする。現在もそのまま暮らしているのだろうか。

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