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 No.619

三輪 薫(みわ かおる)


No.619 『生きる』/竹原暢夫写真展とお別れの会(生前葬) 2013/8/10

主宰している「わの会」のサイトにも告知していたが、6月23日(日)に藤沢駅近くのグランドホテル湘南で1日だけの個展を竹原暢夫さんが開催した。竹原さんはキヤノンフォトクラブ湘南の代表を10年務め、「わの会」の世話人は15年担当していただいている。「わの会」会員有志が個展開催や写真集の刊行を目指して作品の研鑽をしているフォトワークショップ「風」のメンバーでもあり、長年EOS学園の僕の講座も受講されていた。しかし、竹原さんは2000年に癌の宣告を受け、当時は余命4-5年と言われたそうだ。様々な治療を受けながら定年後に始めた写真だけではなく、テニス・ゴルフなども長年楽しみ、短期間ではあったが口笛演奏も習っていた。

サラリーマンだった頃は海外での赴任も長く、個人的な海外旅行はお手のものだと思う。近年の撮影を第一目的の奥様同行の海外旅行では、レンタカーを駆使しての走行は延べ6万キロくらいになるという。僕が企画の海外撮影ツアーも含め、旅行社主催の海外ツアーへの参加もあり、海外で撮影した作品は膨大な点数になる。

竹原さんは癌に冒されながらも何とか10数年生きてきて、いつかは死ぬ葬式よりも何とか元気な内に「生前葬」を行いたい。その生前葬と共に念願だった写真の個展も同時に開催したいと昨年伝えられた。人間、長く生きていても、多くの方々に感謝しながらも、元気な内にその気持ちをまとめて伝えることは難しい。有名人が極たまに「生前葬」を行っているようだが、本人が死ぬ前に直接感謝の気持ちを伝えたいと思っても不思議ではなく、葬式よりも生前葬のほうが理にかなっているかも知れないとも思ってしまう。

竹原さんにとって今回の写真展は初めての個展で、半切、全紙、全倍の額装作品を61点展示した。この写真展の会場には仲間のフォトワークショップ「風」のメンバーの大半が来てくれたのだが、『フォトワークショップ「風」は個展開催や写真集の刊行を目指すというのが趣旨だよ』と、まだ実行していない仲間に話していたのが面白く聞こえた。やっと、自信を持って話すことができたというのが本音だと思う。しかし、今回の写真展、たった6時間だけのものだったが、300人を越える実に多くの方々が来てくれ、改めて竹原暢夫さんの人柄の素晴らしさ、すてきさを感じた。来場者は地元の方々だけではなく、遠くは西や北から片道4時間も掛けて来てくれた方々、片道2時間は掛かる関東地区の方々も結構いた。監修者としても大変嬉しい限りである。

それにしてもこの日を無事に迎え、過ぎることを願っての事前の入院や、当日の時には車イスに乗っての応対し、別室に用意されたベッドで休息を挟みながら過ごされていた。夜に行った生前葬では2時間半もの長い間司会進行も自分で行うなど孤軍奮闘の凄い行動振りだった。それにしても結構遠い所からも含め、130人余りの方々と楽しく過ごすことができた竹原さんの生前葬はとてもすてきでした。さすが明くる日からは精も根も尽きたようにダウン状態だった竹原さんですが、栄養を付けて元気に過ごしたいと奥様とレストラン通いをしているとメールをいただいた。元気のパワーを貯め込み、次の個展開催を期待したいと思ってしまう。何しろ、今回の個展での作品セレクトはいい作品が多すぎてセレクトするには大変だった。このような監修は実にまれなことで、この個展はもう2回開催しないと完結しない。

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