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 No.638

三輪 薫(みわ かおる)


No.638 『生きる』/観光バスのドライバー 2015/6/3

先月末に撮影ツアーで行った東北でのバスの運転手さんは女性の方だった。海外では経験しているが国内でのツアーで女性のドライバーは初めてだ。この企画を手配してくれた旅行社の担当の方も電話で打ち合わせたときには添乗員の方だと勘違いしたと言っていた。現在では結構大きなトラックでも女性ドライバーは見受けられるが、観光バスではまだまだ珍しいのではないだろうか。

しかし、運転は上手で、何より気配りが凄くよく、手荷物のトランクの出し入れや、撮影地での三脚の出し入れなど、率先して素早く動いてくれた。しかも、何時も笑顔できびきびとした動きも実に気持ちよく感じた。撮影ツアーでの観光バスの運転手には、運転以外何もしないと言っていいくらい動かない人もいる。しかも、いつもぶすっとして、応対がぶっきらぼうでは、このようなバス会社には二度とお願いしたくないと思ってしまう。それに比べると今回のドライバーさんは仕事そのものを楽しんでいるように感じた。この方の会社の姿勢も垣間見る思いがする。この地を訪れる撮影ツアーでは、次回からはこの観光バス会社とこのドライバーさんを指名したくなったほどだ。雨が降りそうになったときなど、さっさと人数分のビニール傘を用意してくれた。各自が持っている折りたたみ傘は小さく、濡れると後が大変と、この気配りも嬉しかった。

自然風景の撮影ツアーではいい出合いばかりが続くとは限らず、ホテルなどの対応も全てスムーズに行くことばかりではなく、その上で観光バスの運転手さんに不快感を覚えるとますます気分が重くなってくる。そのようなときに今回のような気持ちいいドライバーさんに出会うと、何となく全てがいい思いに包まれてくるように感じるだろう。今回は夏日と思うくらいの日差しの暑さの中、林の結構起伏のある遊歩道を3.5km近く歩いて疲れ、二泊共に朝夕の色付きもほとんどなくて、その点ではちょっと期待はずれもあった。しかし、振り返ってみると気持ちよく過ごせたと思うのはこのドライバーさんや、旅行社が手配してくれた昼食の弁当やレストランなどの内容のよさにもあったと思う。

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