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 No.718

三輪 薫(みわ かおる)


No.718 温泉の油量と源泉温度の低下 2023/1/22

青森県岩木山麓の嶽温泉に「山のホテル」という温泉宿があります。初めて泊まったのが1996年の5月で、予約はしていませんでした。西目屋村の暗門の滝や岩木山のブナ林などの撮影後にふらっと訪ねた時の対応がとてもよく、泊めていただきました。聞いたところ料理も結構多く、少なめにしてほしいと言ったところ、希望通りにしていただいたのを覚えています。その日の宿泊客は多くなく、夕食は食堂ではなく、泊まった部屋の隣室に用意されていました。その料理はとても美味しく、少なめと言っても当時の僕にはまだ多く、食べ残したのを部屋まで運んでくれました。僕が時間を気にしていたのを察してくれたようで、温泉を楽しんだ後に全部いただきました。朝食は食堂ですが、マタギ弁当的なとても見た目にも素敵で美味しい朝食です。温泉大浴場も2つあって、どちらにも入りましたが、いい湯ですね。初回に泊まった時の印象がいい宿は撮影ツアーでも利用することが多く、5〜6回くらい行ったでしょうか。このホテル、部屋のタイプによっては囲炉裏がある部屋もあり、夕食後の懇親会を囲炉裏を囲みながら行ったこともあり、楽しい思い出になっています。「わの会」撮影ツアーでも2018年7月に泊まって、皆さんに楽しんでいただきました。

しかし、このホテル、今月3日に「当館は改装のため閉館中ではございましたが、有限会社山のホテルは諸般の事情により、破産手続きの準備を開始いたしました。」との記事を目にしました。近年のコロナ禍のせいもあるのでしょうが、宿泊者数も減っていたそうで、また、源泉の湯量が減ってきたことも破産の原因の一つかもしれません。近年、全国のあちこちの温泉地で源泉の温度が下がってきたとか、湯量が減ってきて休業せざるを得なくなってきたとのニュースを聞くことも増えてきたように思います。日本最大規模の温泉地、九州の別府でも起こっているようで、源泉の温度低下や蒸気量の減少が目立ち始めたそうです。今や、東京のような都会地でも温泉を掘り当て、日帰り入浴できるところも多くあります。データが確かになって、至る所で掘り当て、温泉施設が増え続けています。しかし、温泉は無限にあるはずもなく、湯量にも限りがあり、もう温泉施設を増やすにも無理があるのでしょう。温泉好きな人にとっても由々しき問題ですね。


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