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 No.724

三輪 薫(みわ かおる)


No.724 季節感を感じる生活 2023/7/27

7月とは言え、猛暑日が続くと部屋の中にいてエアコンをかけていても身体がけだるく感じ、所用があって外に出ると、強烈な日差しがあって眼がちかちかし、頭もくらくらしてきます。近年、6月に入ったら真夏のような蒸し暑さを感じることもあり、地球温暖化とはいえ、近年特に異常気象と思われることが多くなってきたように思います。

僕の実家は、二十歳頃まで茅葺き屋根の建物でした。とは言っても、白川郷などの合掌造りではなく、昔の庄屋さんの家のような立派な造りでもなく、当時の関ヶ原で捜しても珍しいくらいのおんぼろな家で、冬はすきま風も入り、とても寒かったのを覚えています。しかし、夏は結構涼しかったような記憶があります。瓦屋根よりも茅葺き屋根のほうが断熱効果が高いのかも知れません。ガラス戸を全開にして風を通しての昼寝は快適でした。勿論、その頃はエアコンなどなく、せいぜい扇風機でした。田舎ですからセミの鳴き声も凄まじく、日を追う毎に違うセミの鳴き声が聞こえ、夜になると部屋の中に吊った蚊帳の中に捕まえてきたホタルを放して光を放ちながら飛ぶ姿を楽しんでいたものです。

かっと照りつける太陽も、暑いとは言っても現在のように蒸し暑くなく、時には心地よささえ感じたような気がします。庭などには打ち水をして涼を求め、窓辺に腰掛けてスイカなどを食べていたのが懐かしく思い出されてきます。家業が塗師だったことで人の出入りもそれなりにあり、それらの人もこの茅葺き屋根の下で昼寝をしていた姿も記憶に残っています。夏は暑いなりにこの季節感を自覚しないまでも楽しんでいたように思っています。


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