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 No.754

三輪 薫(みわ かおる)


No.754 作品創りと個展開催 2025/12/23

僕は個展を開催しながら作品創りの方向性を見つめ、確認して、次の作品創りに向かっています。55年ほど前に写真家になりたいとの思いで、その近道だと考えた名古屋の専門学校で2年間学び、卒業と同時に上京したのですが、在学中から将来写真家になれたら個展を開催してオリジナルプリントを見ていただき、できればその作品を販売して生活してゆくことができないかと考えていました。当時はジャーナリズム全盛時代だったようで、そのことを話したら、肯定的な言葉よりも否定的な言葉が返ってきたように記憶しています。自分の人生ですから、自分が思うがまま、考えるままに生きてゆきたいとの思いが強くありましたが、写真界の中心地の東京であっても初期の考え方で写真家として生きるのは無理でした。しかし、何時かは実現できる日が来るのではと、自分の思いや考え方を言わないで、こつこつと作品創りに励み、個展を開催し続けてきました。しかも、自然風景など同じ被写体や分野に取り組むのではなく、興味を抱いた様々な分野にカメラを向け、ある程度撮ってその結果を確認したいと思ったときに個展を開催していたのです。撮影や作品創りの結果を出せたからと個展を開催するのではなく、次の展開などを確認したいと思ったときに開催していたように思っています。作品創りに完成形などなく、途中経過を確認してこそ、次の作品展開が見えてくるような気がしています。その思いは今も同じです。しかし、フリーなってまもなく開催できた自然風景の個展は、フリーになってから撮り始めてから2年経ったのだろうかと思う時期でした。というのも、当時使い始めたコンタックスのプロ担当の方から、僕が撮影したポジを見たいと言われ、お見せしたところ、個展を開催しようと言われました。作品を評価していただいたのは嬉しく、ありがたい話ではあったものの、そのような自信はなく、お断りしたのですが、費用は会社で持つからと言われたのです。若かったからか、それならいいかもと、お言葉に甘えることにしたのです。そのときのプリントはリバーサルフィルムからのダイレクトプリントでした。当時はリバーサルフィルムで撮ったものはダイレクトプリントするのが主流だったようですが、個展会場で改めて眺めてみると彩度やコントラストが高すぎるように見え、疑問を感じました。プリントしてくれたプロラボの方に聞くと、リバーサルフィルムからインターネガを作り、カラーネガ用のペーパーにプリントするとグラデーション豊かなプリントに仕上がります、と言われました。以後、銀塩のカラーペーパーでプリントする時は、全てインターネガを作ってプリントしていただいてきました。この方法でのインターネガは4x5インチか5x7インチに拡大していたので35ミリ判フィルムからの短編1mの大型プリントでもびっくりするくらいの仕上がりになります。同業のプロの方が個展会場に来て、この作品は中判カメラで撮ったのでしょうと言われたことが何度もあります。ですから、展示の作品をカメラショーなどで展示されたときには、そのフィルムのコンタクト(べた焼き)を添付していました。

さて、カメラで日本画を描く作風での伊勢和紙による三輪薫写真展「風の香り」を富山県高岡市にある安藤忠雄さん設計の写真美術館「ミュゼふくおかカメラ館」で11月1日から開催中ですが、いよいよ来月12日で終了です。僕の写真家としての集大成ともいえる個展で、多くの方々に見ていただきたいと願っています。



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