Toppageへ
 No.708

三輪 薫(みわ かおる)


No.708 語らいと作品鑑賞 2022/3/5

コロナ禍が長引いていて、学校ではリモートで授業が行われたり、会員制交流サイトで言葉を発したりして、人と人が直接に会話する機会が減っていますね。メールという通信手段が出来てからは、電話での会話が随分減ってきました。メールでは文字として記録が残り、事務的なことでは助かることも多いという利点もあります。しかし、便利さの蔭で人と人との触れ合いや心が通い合う機会も減ってきます。相手と目の前で話せば、相手の表情を観察し、気配を感じながらの会話が成り立ちます。まさに「語らい」が成立し、相手との理解を深めながら話し続けることが出来る喜びもあります。筆無精になってしまった僕はついついメールで済ませてしまいますが、メールよりも葉書や手紙のほうが気持も伝わるのと似ている気がします。

作品鑑賞も同じで、印刷された作品集から直接見た作品の感動を同じように感じることは少ないと思います。印刷された作品からは情報としては伝えられますが、特に大きなサイズで展示された作品の印象を図録や作品集から感じさせることは難しいでしょう。日本画での和紙に描かれた作品と絹地に描かれた作品は目の当たりに見るとその違いがよく分かりますが、印刷面からはなかなか判断出来ません。僕の個展作品は近年伊勢和紙によるものが多くなっていて、銀塩の印画紙で開催したのは2009年の「ファインプリント-V」展が最後です。7日から日本橋の小津ギャラリーで開催の「花恋-2」も伊勢和紙によるもので、展示は18点ですが、8銘柄の伊勢和紙を使い分けています。これらの作品の内6点をカメラ誌の月刊『フォトコン』3月号に掲載していただきましたが、誌面からは和紙の違いは分かりません。印刷の画像データが和紙プリントの複写ではなく、撮影のDigital画像だから仕方がありません。しかし、この掲載を見て直接和紙プリントの作品を見たいと思っていただければいいと思っています。「わの会」の会員の方々で、今回の個展作品を見たいと思っても、日本橋まで来ることが出来ない人も多く、その方々には誌面で楽しんでいただける利点があります。やはり、作品を掲載していただけるのは嬉しいことです。


戻る